COLUMN

No.21
「活かす」ということ 2005/01/26

 工務店時代も、自分で事務所を開設してからも、さまざまな事柄を「活かす」ことの重要さを考えさせられることが多い。

 自分の知識や知恵、スキル、人脈、時間、お金・・・身の回りのいろんなものを自分だけで抱え込んで、外に対してそれを「活かす」ことをしなければ、それは結局は「使えない不良在庫」であったり、「賞味期限切れ」のものでしかないように思う。 だから、私は設計事務所をはじめてからも、手伝って欲しいと言われれば時間が取れる限り、マンションや工場、図書館の設計の手伝いもしてきた。それは少なからず、そういった建物の設計をしてきたという経験を期待されてのことだし、自分としてはいつどこで、自分が依頼されてもいいように、そのスキルを錆びつかせずにいつでも「活かせる」ようにという意味と、そういった今までの人間関係によって自分が「生かされている」と感じているから。 小規模な工事でも、自分で請負っているのは、工務店時代の経験を活かして、自分に依頼してくれているお客さんの期待に応えたいと思うから。

 こういうやり方はたぶん、効率は悪いと思う。こじんまりと設計事務所をやっているだけだったら、「住宅専門の設計事務所」なんてことにして、「住宅設計のプロ」になるのが仕事の効率もいいし、お客さんにとっても「その道のプロ」としての安心感があるかもしれない。

 だけど、特に住宅の設計は奥が深い。数万㎡なんていうビルも設計してきたけど、多分、住宅が一番難しい。設計も施工も。これ、実感です。奥が深い住宅だからこそ、それをつくる人間は「人間の巾が広く」「フトコロが深い」ことが必要だと思う。だから、今、自分の身の回りのことで「活かす」ことの出来るものは、無理してでも「活かそう」と思う。

  それが数年後、自分の巾を広げ、フトコロを深くすると信じて。そして、自分が「生かされる」ことになると思うから。

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