COLUMN

No.12
数千万円というお金 2004/11/22

 建物を建てる場合、ほとんどの建物が数千万円~数億円という工事費になる。その中でも住宅は、お施主さんが一人(または家族)で数十年と背負い続ける大金だ。そのお金を、依頼を受ける側の設計者なり施工者なりが「大金」だと思えるかどうか、が品質の高い建物をつくるカギであると思っている。

 私は依頼された建物の積算と見積書の作成は自分で行う。1本、百数十円の胴縁材から数千円の柱材、㎡あたりいくらの外壁材などなど。セット金額で大きな金額となるシステムキッチンなどを除くとそれぞれの単価は高くても数万円がいいところで、膨大な材料点数にこれらの単価を掛け合わせて積上げると数千万円という金額になる。「ちりも積もれば・・・」の世界なのだ。
 それを身をもって知っているから、一つ一つが数百円のコストアップでもおろそかにできないし、必要以上に余分な材料を発注できないし、職人さんに「無駄」な仕事をしてもらいたくもない。こういった些細なことがホントの意味でのコスト管理だと思う。

 そして、目には見えないのだけれど、コストに大きく影響してくるのが「段取り」である。段取りがスムーズにいけば時間的、労力的なロスを防ぐことができる。建設費の多くがもとを質せば人件費なのだから、段取りよく材料を納入し、効率よく仕事をこなせるようにすればコストを抑えることができる。逆に、材料がなかなか決まらないとか、納まりが決まらないとかでちょっと待って、となるとそれに関連する作業がストップしてしまう。これでは効率も悪いし、職人さんの精神衛生上も良くない。

 お施主さんは数千万円という「大金」を数十年払い続ける覚悟がいる。創り手は数百円、数千円と積もり上げた「大金」を有効に使い、その価格以上のものに完成させる覚悟がいる。少なくとも、私はそう思っている。

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